中国製品のインド進出 |
2001/1/2 |
「21世紀は唐・天竺・コンピューター」と1992年の年賀状に記したが、将にその通りとなってきたようである。今世紀の世界経済はインド、中国無しには語れないだろうし、世界の外交もこの2国を外して戦略は立てられない。
人口問題では今世紀の前半には両国合わせて30億と成ると予想され、地球上の人口の40%を占めるようになる。 物によってインド製の方が質が良いと言う説を立てる人もいるが、中国製の方が優良との説もある。玩具、バッテリーについては質に問題あるという説が大半を占めるが、音響製品については保証期間が2年、電球も半年の保証をつけていると言われ質に遜色無いといわれる。
シーリングファンにはインバーターが組み込まれ、数時間の停電には対応できるアイディアは停電の多いインドは非常に魅力的な商品となっている。 2つ目は、ネパール経由の中国商品である。ネパールとインドは2国間協定により、30%の付加価値がネパールでつけられた商品は無税で輸出入出来る。このためラサ経由陸路ネパールに持ちこまれた中国製品がインドへ入ってくるケースである。
第3は密輸である。それぞれのボリュームがどの程度になっているかは、議論の分かれるところであるが、金額的には密輸は無視できる。又ネパール経由も限界があり、正常の輸入が過半数を占めているようである。
従い、ファンメーカーの中には自分のインドでの工場を閉めて、中国にOEM生産をさせる事を考えるところが出てきている。グレーターノイダのT−シリーズ社が真剣に検討中と言う。
中国がWTOに加盟し量的に無制限にインド市場を侵食してくると問題であると騒いでいる人もいる。又中国製品は将にインドの中小企業の分野を蚕食するゆえ何らかの規制が必要と論を立てる人もいる。 又中国のダンピング疑惑については商業的に採算が合わなければ中国の会社は輸出しないと市場主義を強調して、インドの中国製品排除のキャンペーンは不健康なものであると不快の念を表明している。 大使はインドと中国は互いに排斥、批判しあうのではなく、WTOでの協調を考えるべきと論を進め、WTOに対する中国の五原則を強調している。
曰く、途上国の開発目的に敬意を払う事・先進国はウルガイラウンドのコミットメントを守る事・新しいルールは途上国も参加の上組み立てられる事・途上国同志がこれまで以上に協調すること。 WTOは内政干渉をしない事。
今まで孤立していたインド経済がグローバルな影響を受けるようになったわけである。21世紀の世界経済の中でインドと中国が対等に競争できるように、インドはコストとの見直しを迫られている。 人件費については、インドも場所によっては競争できるが、現在のマルチ社の労働組合の要求を見ると将来が懸念される。中国向けに各国が輸出する原材料の価格は国際的な水準より大幅に安いもの少なくなく、これがかなりコストダウンに工場建設から実際の生産面まで大きく寄与している。 税金についてはインドと比べ中国の方がどうも安いようである。物品税、州税等を考えるとかなりの違いとなっているようである。 効率については、インドは工夫すれば中国を凌駕できると言う例があり競争可能であろう。薄利多売は、発送の転換を迫られるインド企業家もいよう。現在の中国製品のインド進出はある意味ではインドの競争力を見直すために、良い刺激と試練を与え、知恵と工夫と努力と発想法の転換をインド企業家に迫るもので歓迎すべき点もあると考える。 |