季節の食べ物

2005/3/31

 世の中が進むにつれて、食べ物に季節感がなくなりつつある。そんな中でいまだに私が季節を感じながら食する三つの食べ物がある。

 毎年この時期になると期待に胸を膨らませる。たけのこの季節だ。女房によると、1週間に2回たけのこを湯がくという。醤油とみりんで煮つけを作るのと、後はたけのこご飯を炊くために、週2回たけのこを湯がくという。これを娘達におすそ分けもするが大半は夫婦二人で平らげる。
たけのこは先ず鹿児島産から始まり、約一ヶ月にわたり産地が移動し、福島産あたりで終わりになる。もちろん、採りたてが一番美味しい。ただし、たけのこの山へ出向きそこで食べるような贅沢は庶民には出来ないし、そんなものまでは追求しない。たけのこであれば十分である。
毎食煮つけと炊き込みご飯で飽きさせないものをたけのこは持っている。たけのこは歯ざわりだけという人もいるが、どうしてどうして結構味もあるものである。それを説明する日本語の表現力を持たない自分がもどかしいが、季節の間食べ続けるという事実で十分であるかとも思ったりする。
たけのこ礼賛である。

 たけのこが終わると、ナスの季節になる。ナスの煮びたしを作り、一晩以上寝かせたものを食卓に並べる。これも秋まで毎日である。飽きないものである。斜めに包丁を入れたナスの煮びたしに乾燥赤唐辛子の2ミリくらいの輪切りが乗っているものを見ると、思わずつばが出て来る。将に消夏の一品である。

 最後の一品はおかずではない。果物である。季節になると、女房ではなく、自分で果物屋から買ってくるのが八朔である。八朔のよさは、適度の甘みと酸味のバランスの味がなんともいえないが、それより面倒くさがり屋の私でもその快感からついついまじめに取り込む皮をむくという作業がある。外皮のことではなく、果実のヒトッコヒトッコをむくときの実離れの良さが、私にはたまらない。
八朔には今年で言えば、一個300円位から、5個250円くらいまでいろいろあるが、一番食べて美味しいのは4個300円前後のものが一番と喝破する。一個300円木成りの完熟はあまり味が良いとは思われない。五個250円の玉は、実の細胞がやせていて一寸貧乏くさいし味がふくよかではない。和歌山県産の4個赤いネットに入ったものが一番である。他の柑橘類は最近はネットに入ってはいないが、八朔だけは別である。八朔の色は他の柑橘類に比べるとやや白みがかっていて、それを美味しく見せるための演出であろうと思うが、それはそれでよいと思っているのは八朔に対する身びいきかと思ったりする。

 もうそろそろ八朔も終わりで、たけのこの季節が始まる。一年中季節を楽しめるのが日本であることをインドにいるとうらやましいと思うこともある。そろそろインド行きも本格化しそうである。
 
 

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