果 物

2006/3/20

1961年8月にカルカッタ港に上陸したときはまだマンゴーシーズンだった。カルカッタの連中はラングラーという味の濃いベンガル地方特有のマンゴーを堪能していた。

「マンゴーを食べるときは、上半身裸で食べるんだ。マンゴーの汁をこぼしても水浴びすればそれですむから。」胸を張って説明してくれたベンガル人がいた。旬のマンゴーを貪り食っていた。バナナ、パパイヤ、椰子の実(これは飲み物?)、マンゴーは日常的な食べ物であった。りんご、イチゴは貴重品で金持ちの食べ物であった。

 今はインドペースにしろ果物の品種改良も進み、りんご、イチゴも一般人も日常的な果物になった。西瓜も糖度を上げた品種が開発されて(日本の小玉を西瓜を使っても改良と聞く)、賽の目にきり砂糖をかけて食べた話は遠い伝説となった。

 一方、ムンバイ(昔のボンベイ)周りで生産されるアルフォンソマンゴーは世界的に有名ブランドとなり、殆どが輸出に回され、インド国内用には輸出のおこぼれが回される程度となり、価格も一個20(50円) 〜40ルピー(100円)と庶民の手の出ない価格となってしまった。12個入りの箱で売られているのが普通で、1箱300〜500ルピーは一寸手が出ない。日常的な庶民の昼飯は大体10ルピー(25円)〜50(125円)ルピー当たりで、それから考えるとマンゴーは高嶺の花となってしまう。
 ニューデリーの高級果物店は、INAマーケット、カーンマーケット、ベンガルマーケット、ディフェンスコロニー辺りにあるが、最近ではそんな高級品を扱っている店以外にも、輸入の果物を扱うところが路上に出てきていたりして驚かされる。りんご、桃、なし、メロン、葡萄、マンゴスティン、ランプータンなどが高価で店頭に並ぶ。アメリカ、タイなどからの輸入果物は、金に飽かした金持ちと外国人用である。インド人同士でも贈り物に輸入品を入れるのが高級感を出すというので輸入品は珍重されているようである。値段はここの常識では考えられないような高値である。カルフォルニヤ産の葡萄一房500ルピー(1250円)桃一個200ルピー(500円)などを常時食べるレベルは当地では非日常的であろう。

 毎日の食卓に乗るのは、時を選ばずパパイヤ、今は葡萄と西瓜である。そろそろマンゴーの走りが出てきた。マンゴーは種類により地方によりタイミングが異なるので、8月までは堪能できる。楽しみである。

 うわさによると今年当たりか、遅くとも来年当たりからインドのマンゴーが日本に複雑怪奇な非関税障壁を乗り越えて輸入されるというが、もし実現すれば、30年来の快挙となる。

 日本から帰ってきたインド人は、日本の果物、野菜の充実に舌を巻いたとの報告をする。この当たりに、日本とインドの差があることは否めない事実であろう。日本が贅沢すぎるのか、インドがまだ貧弱なのか議論は分かれるところではある。

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