愚句解題

2003/9/12

 2003年は6万年に一度の火星大接近の年という。9月11日の満月が火星と月が一番近づいて見える日だという。

 9月8日(月)東京発12:44の『なすの237号』に乗り、14:01に那須塩原に到着すると、大騒ぎで、駅のホームにもくもくと天を突く黒煙が落ちかかってくるばかりの臨場感で迫っていた。ブリジストンの栃木工場の炎上である。(見事なものである。鎮火に26時間かかったという。新日鉄の火事といい鎮火にこれほどの時間がかかるのは、消火のシステムを見直さなければと思うがそれを指摘したマスコミ知識人が皆無であるので、敢えて茲で指摘をしておく。大規模火災の鎮火についての考え方の変更が必要である。)

 宿は、那須ビューホテルで、駅前からりんどう湖行きの路線バスに乗り、湯元でおりるようにとホテルからの指示があった。名前が登録されていて無料で湯元まで約40分。妻 延子と次女の伊吹とその長男の孫の伝士(ようやく二才に手が届くところまで来ている)の四人連れである。

 ホテルはさすが塩原温泉湯元である。普段東京の天然温泉狂いの小生を十二分に満足させてくれる。特に芭蕉の句碑「石の香 夏草赤く露暑し」を配した露天風呂が結構で、空を見上げると十三夜の月とその左下に配した火星が感動ものであった。

 飯も良かった。ブッフェは選択肢が多く、味付けも水準を越え、一泊1万円は高くない。朝飯の非常に充実していた。

 その晩の夜のニュースは栃木の火事と、火星と月と、タケシの『座頭市』のベネチア映画祭銀獅子賞受賞の話題で盛り上がっていた。

 芭蕉の句に
「座頭かと人に見られて月見哉」
というのがある。妻と「めくら」「めしい」「盲従」が差別用語であれば、座頭はどうなるのかなと軽口をたたく。

 そこで一句、
「那須湯元火星と月と座頭市」 双延
6万年に一度の天体ショウと、武のベネチア銀獅子受賞と黒澤明監督の武への「日本映画を頼む」とのメッセージ、芭蕉の座頭と月の句の付け句趣向と、「と」を四つ読み込んだリズム(17文字の23.5%が「と」)、月は十五夜ではなく十六夜とか十三夜が良いとする日本人の美意識を意識して、御当地句を読んだことよ。六万年に一度の火星の地球への接近が2003年を、武の受賞のニュースが月日をトレース可能にしているわけである。

 ちなみに双延とは小生の俳名で、謂われはいうまでもなく、夫婦の名前に延が二つあることによるわけである。
 
 

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