インドへの投資について

2007/1/29

日興コーディアル証券がインドのファンドを組んだのがいつであったであろうか。もう十年近く前の話であろう。その当時インドに投資を始めた人は、既に倍以上の利殖に成功したと噂されている。そのコーディアルが日本の会社ではなくなった。歴史は動くものである。

日本のインドへの直接投資はインドが1991年に外国に対して門戸を開放してからも、どうもインド側が期待するほど増大しなかった。その原因の一つは。インドの事業化に対しての不透明感、それまでのインド商売における火傷の後遺症、インド人およびインド市場に対する警戒感があげられる。要するに、インドは信用ならないという一般論があり、どうも踏ん切りがつかなかったようである。

確かに過去インド人商売からの経験則で、「どうもインドの商売はね」という警戒感が強く大手企業の進出が遅れたことは事実であろう。経験から学ぶということはよいことであろうと館長も納得するが、実はその経験たるやどうもインド人側に問題があるのではなく、日本側の勉強・研究・調査不足に起因する問題が多く、どうもそれをインド人またはインドの所為にしてきたきらいがあるようだ。

各社のインド担当者やインド駐在員は、自分の不勉強や経験不足や至らなさを棚に上げインドの所為であると日本側に報告していたような気がする。日本の会社のインド関係のファイルには、いかにインド人があるいはインドが悪いかという資料が並び、そのファイルの重さが新規の案件の前に立ちはだかっているのが実情であるようだ。

インドの法律の無知、税法の不理解、脱税の小細工、プロジェクトの準備不足、契約書の不備などなど尽く日本側に問題があったと思われる。それを、インドの神秘性、税法の複雑さ、税に対するコンプライアンス欠如、言ったことを守らないインド人、書面の軽視などなどを日本側に報告して、自分の欠陥を糊塗したケースが多いと館長は喝破する。

インドの法律にはその歴史的背景があり、数百年にわたり西欧諸国に搾取されていた経験から、労働者保護、外貨規制、社会的弱者救済を理解しないとわからない問題が多い。また、インドでは、法科を卒業すれば弁護士と自称できるので、弁護士にもそれなりの質の問題があり、弁護士ならだれでもよいというわけにはいかないことを知っている日本人は何人いるのであろうか。

インドでは農民を大事にするために農民には税金がかからない。それらをカバーするために取れるところから確実に徴税するシステムができている面もある。インドの税法は毎年変わるので、なじめないと文句と言う人がいるが、日本と比較してどうなのであろうか。日本の税法は外国人にわかりやすいのであろうか。ある日本の専門家に言わせれば、インド税法は成熟しているという。勉強不足を棚に上げて、インド政府に税の簡素化を提言する日本人を見かけるが、噴飯ものである。

日本人の所得に関する脱税問題を棚に上げて、インド政府の理解のなさを嘆く人がいる。インド政府は何回日本側に機会を与え悔い改めるように指導したにもかかわらず、自ら偽りを正すことをせずに、最後の摘発を受けるとこまで自分自身を追い詰めてしまった日本企業は、本件に対して何も言う権利はない。リエゾンオフィスは商行為をすることは違法であると知りながら数十年にわたり商活動を行ってきた企業にインド政府は見做し課税をする挙に出てきている。これも、インド側が悪いと報告する義理合いは全くない。

プロジェクトを行う際に、日本で用意したチェックリストでインドを分析しそれでFSを作りと言うことをよくやるが、日本で用意されたチェックリストは往々にしてインドの現状を加味していいない部分があり、机上の空論を作る結果となっている。インドの現状を踏まえたチェックリストが必須であることを忘れてはならない。

インドは契約書がすべてである。口頭でいくら話しても、契約書に盛り込まれないと実効はないと知るべきである。その契約書のチェックはインド英語の知識が必要であり、インド法律用語の知識が不可欠である。良いインドの弁護士を使うべきである。契約書は文化の違うものが、お互いに同意する点を書き出したものでもある。従い文化の規定も必要なのかもしれない覚悟がいる。

インドに関しては以上のような準備が最低なされないと失敗は必至である。その経験をした企業は少なくない。そしてインドは嫌われ者の範疇に置かれ、一部の企業を除いて投資の対象から長年はずされてきた。

しかるに、ムンバイの証券市場は、SENSEXと言う名称で呼ばれるが、そのSENSEX指数を高ささえしているのは円だという。日本の証券会社のファンドマネーがSENSEXに流れ込み。今のレベルに押し上げているとの分析はどうも間違いなようである。

インドとインド人に疑問を持つ日本人が、日本の証券会社を通じて、インドの実業家が行っている事業に大金を預けるというのは、館長にとっては、それほどにインド実業家のやることを信用しているように見え、いったいどうなっているのかと考え込んでしまいます。インドは怖いから進出はしないが、インド人には投資するというのは、なんか変ではなかろうか。
 
グルガオンの巨大事務所ビルの中でインド企業は着々と伸びて行く・

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