年の暮のインドの変化

2008/1/11

インド人に「お前の宗教は?」と聞かれて、「無宗教」と答えると「How?」と言う反問が返ってきた。「Why?」ではなく、ハウなのである。

その意味は、宗教なしで、生まれて死ぬまで、あるいは朝起きて夜寝るまで何を規範に過ごすかということであった。

ヒンドゥ教徒は、ヒンドゥ教徒の決まりに基づき毎日の生活をする。回教徒も回教徒の戒律をそれなりに尊重しながら生活する。インドの国勢調査によれば、6大宗教があり、前述の2つ以外の、キリスト教、仏教、シク教、ジャイナ教徒もそれなりの規範に基づき生活している。(インドで無宗教と言うのは、統計によれば、0.1%となっている。千人に一人と言うことである。11億の内の100万人程度が無宗教と言うことになろうか。非常に少ないといえるかも・・)

もちろん、インドのことであるから、宗教だけでなく、ジャティや、地域性やその他要素も宗教に加味され、さらに自らの考え方も上乗せされて、あらゆる色の錦を織り成すような多様性の世界を織りだしているが、その根底をなすのは宗教であるようだ。

宗教の教え、戒律、坊主言動などにより、善悪、行動の可否の判断、休日の決定、タブーの設定、慈悲の図、食事の内容などあらゆることが決められる世界の住人にとり、無宗教では灰色の混沌の霧の中でどのように動けるのかと疑問に思ったのであろう。

そんなときに館長がした説明を披露しよう。

日本人の中には無宗教と嘯く人が少なくないが、まったく宗教色がないわけではない。それどころか、宗教色に満ち満ちているといえる。

日本の神道では、始まりを大事にする。そこで、日本人は、物事の始まりは神道でけりをつける。一年の初めの祈りは神道の神社で行われるし、橋の渡り初めは神式であり、結婚式は神式が圧倒的に多い。地鎮祭も、初日の出も、初参りもみな神道の儀式の流れを汲む。始まりは神道である。

しかし、神道は終わりを扱うのが得意でないようで、物事の終わりは輸入した新興宗教の仏教に託した。

来世についての考え方、葬式、何々供養と言われる終わりは仏教の流れの儀式が取り仕切るようである。うなぎ供養とカ、針供養とかもそういう流れであろう。一年の終わりの除夜の鐘が仏教寺院で、その瞬時の後の初参りが神社となるわけである。

で、その始まりを終わりをつなぐ行動規範となったものが、中国から輸入された儒教や道教であった。親に孝、国に忠などの現世、経世の教えである。これが日本の社会システムの底流となった来たようである。

始まりと、終わりと、それを繋ぐ間の行動規範ができると、哲学的な意味はさておき、それでなんとか日本と言う社会、あるいは日本人は日常を生きることができたようである。
そのシステムで社会をある程度動かしてきて、衣食住が足り余裕ができてくると、人生の楽しみというものが必要との贅沢心が芽生えてきた。その時に、日本人が輸入したのが、キリスト教の要素である。クリスマス、バレンタインデイ、カーニバルなどは人生を楽しむために導入され、さらに商業主義に乗せられて、派手にセールなどにも結び付き人生に色合いを付け加えている。

(結婚式を神式挙げる人は、第二の人生のスタートと考え、キリスト教会で挙げる人は、結婚を楽しみと考え、仏式で挙げる人は結婚を地獄と考えているのかもしれない。)

無宗教と自負する日本人でさえ、こんなに世界の宗教を取り入れて生活している。無宗教と言っても、日本人が宗教に無関心というわけではなく、むしろ世界の宗教の良いところを無秩序に無制限に取り入れているのである。

以上の説明をするとインド人はけむに巻かれて、それ以上の議論にはならなかった。

最近の館長の観察によれば、インドにも商業主義のご都合主義の波が押し寄せてきている様である。

バレンタインデイには、学生たちの間では、女学生が男子学生に花を贈る習慣がニュートラとして定着してきているとのことで、本命にはバラの花を、義理にはゲンダ(マリーゴールド)の花を贈るとか・・

暮れのマーケットを見ると、クリスマスのセールを思わせる飾り付けで、クリスマス・プレゼント用に玩具を積み上げている店が少なくない。ホテルなどもクリスマスの飾り付けを派手にやるようになってきている。

インドも楽しみは、宗派を超えてキリスト教の要素を取り入れ始めたのであろうか?サンタクロースの説明はどうするのか、館長は考えるのである・・
 
東京三菱UFJ銀行ニューデリー支店にもクリスマスツリーが飾られている。現地スタッフのアイディアであるという・・
オべロイ・ホテルの入り口である・・キリスト教徒のためのクリスマス・ツリーとは思えない・・
ハヤット・リゼンシー・ホテルのクリスマスの飾りつけの一部である・・
玩具があふれ出るまで飾られている・・
自転車が人気のようで・・言って見れば、クリスマス商戦と言うところでしょうか?

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