グジャール(Gujjar)騒動

2007/6/5

 北インドに偏在する農民カーストの幾つかを総称してグジャールと呼ぶ。ラジャスタン州では総人口5600万人中600万人を占めるといわれる。
 そのグジャールの票を取得するために、2003年のラージャスタン州議会選挙の際に、現在同州の首相をしている、ヴインド人民党(BJP)のヴァスンダラ・ラジェ氏は、予てからのグジャールの希望するST(Schedule Tribe=指定部族)への編入を公約とした。

 ラジェが州首相となってもSTへの編入が進まないのに業を煮やし、先週より各地で騒動(Agitation)が始まった。自動車への投石、バスの焼け打ちなどで25名以上の死者も報告された。

 抗議行動を繰り広げている部族「グジャール」は、ラジェ州首相が、一向に公約を実行しないことに業を煮やし、農民らの不満が一気に噴出した。

 昨4日はグジャールのリーダーが中央政府にもアッピールしようと、デリーバンド(ストライキ)を呼びかけ、北インド各地のグジャールにも檄を飛ばした。その結果一時的に、デリーに通じるNH8、NH2などの道路の閉鎖が行われ、その二つを繋ぐファリダバード・グルガオン道路、デリーへの裏道といわれるMG道路もブロックされた。又、NOIDA地域でもアジテーションが行われ、車への投石などが報告され、車の焼き討ちの情報なども報告された。

 グルガオンも地域により投石騒ぎもあり、グルガオンの会社の中には大事をとり、KPMGのように休日としたところもあった。リワリ地域の政府関係機関は休業となった。

 同4日午後には、グジャールのリーダーといわれるキロリ・シン・バイサラ(Kirori Singh Bhaisala)氏はラージャスタン州と話し合いを続け、一応満足する結果を勝ち取ったと言う事で、アジテーションの終結を宣言した。

 中央政府は、騒動の起こった地点が、アグラ・ジャイプールの周辺と言う外国人環境客に人気スポットであるところでも有り、軍を派遣して騒動が拡大することを極力抑える努力をしたようである。

 本日5日、町や街道はまったく平常と変わらず、一切不安な情報は流れていない。今後しばらくは、この問題で騒動が起こることは無いと観測される。
しかし、昨日の妥協の産物は、3人委員会を設けて、3ヵ月後に調査結果を報告するという内容が骨子であり、根本問題が解決したわけではない。騒動はともかく、今後ともこの問題はくすぶり続ける可能性は残っている。

(了)

注:
1.Gujjar, Gurjjarと二つの綴りがあるようだが、どうもGujjarが正しいようで、音はグジャールが最も近いように聞こえる。大使館はグルジャルと表現している。

2.Scheduled Tribe:STあるいはScheduled Cast=SCは通常指定部族、指定カーストと訳される。この指定を受けると、教育、官職への就職等で色々な特権が与えられる。しかし、それなりの位に甘んずることになり、指定を受けることは自らを貶めることにもなる。従い、世論は自らを貶める運動をするグジャール側につけることには成功していないようである。又、既にSTに指定されているものにとっては、グジャールが指定を受けると頭数が増え一人当たりの予算が削られる結果となると心配して、グジャールに嫌がらせをしているコミュニティーもある。

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