インドのIT産業の再評価

2002/12/8

ビル・ゲーツ氏決断
11月にインドを訪れたマイクロソフト社のビル・ゲーツ氏は、今後3年間にインドの教育、ビジネスパートナー、ソフトウエア開発に4億ドルを投資すると述べた。マイクロソフト社が米国以外で行う非製造分野に対する最大の投資である。同社は最近中国へ7億5千万ドルの投資を発表したが、6億5千万ドルは製造分野への投資である。
同氏は、現在のところソフトウエアサービス分野で、インドは中国の5年先を走っているが、製造分野で中国との競争を真剣にすることを考えるべきだと指摘している。同氏は3度目の訪印でかなりインドの実情を把握しており、3度目の正直で大規模な投資に踏み込んだと言える。当初はインドでの仕事にかなり躊躇していたが、実情を理解するとともに、インドに対する信頼は確固たるものになったと言う。今回の4億ドルの投資の決断は、同氏の個人的な趣味の投資からマイクロソフト社の組織的な投資への変容と言える。
そのほかビル・ゲーツ氏はインドのエイズ対策に1億ドルの寄付を行った。これに対してはインドの人的資源相は少々やりすぎであるとコメントしている。

東芝の戦略
東芝シンガポールの杉森支配人はインドに東芝製品の販売、マーケッティング促進のために100万ドルの投資をすると発表した。インドにおける同社のブランドの知名度を上げる長期戦略の一環として、デリーのHCLインフォシステム社の支援を受けて、e-Studioという模擬オフィスショールームを開設する。このデリーの模擬オフィスの結果を見たうえで他の都市にも展開させ、現在のマーケットシェアをあげることを考えている。また、HCLインフォシステム社は、東芝のこのプロジェクトに400人を貼り付けると張り切っている。

孫正義氏の訪印
日本のIT産業の旗頭のソフトバンクの孫正義氏もインドを訪れバジパイ総理と面談した。バジパイ総理は孫氏に再訪を要請したという。孫氏の目的はインドでブロードバンド革命を起こすパートナーを探すことであると。孫氏のインドの印象は「最初に持っていたイメージは、牛が一杯いるというものであったが、実際に到着してみての印象は違った。インドは今のIT時代に必要な三つの言語、英語・コンピューターサイエンス・数学をマスターしている。」と語った。また総理について「IT国家としてのビジョンを持っている。」との感想を残している。

日経新聞の評価
12月2日の日本経済新聞は、インドの情報技術産業に構造変化の兆しが出てきたと報じている。シンガポールのフレストロニクスは1千万ドルを投資して、モトローラの携帯電話工場を買収したことを報じている。同社がインドで携帯電話組み立てを決めた最大の理由は労働コストの安さにあり、シンガポールに比べ総コストで2割節減できると計算している。日経新聞はその他、中央演算処理装置(CPU)を載せたパソコン心臓部の基板等の例を挙げている。労働コストのみならずこれまで製造分野では技術面で問題があり、国際競争力を欠くとされてきたが、状況は急速に改善されつつあると指摘している。 

インドのITを再評価してみては
インドのITについては今までソフトウエア中心に語られてきたが、今後はハードも視野に入れて検討する必要があるようだ。インドがITに関するハードまで競争力が出てくるとまさに鬼に金棒である。IT関連の日本企業もそろそろ腰をすえてインドを見直す必要があるようだ。

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