ソニー・ホンダのもの作り

2000/11/8

――インドはもの作りに向かない国なのか?――

政府派遣ミッションは10月30・31日の午後ソニーインディア社とシエルホンダ社を訪問した。

ソニーの工場は、日本から中古の機械を入れ、廃品寸前のスティールデスクやプラスチックの部品入れをリサイクル利用し、又日本から輸入した設備の梱包資材までを有効利用して作業台や部品棚を作り、まるで終戦後の物の足りない時代の工場の印象さえあたえる手作りの工場であった。ソニーの方は1960年代の工場ですよと言っていった。その中で一際目立った設備は、検査機器でこれは最新のものを据付けていた。工場内は、建設コスとを引き下げるために一部はコンクリではなくインド特産の床材用のコタストーンを敷き詰めたところもあるが、とても清潔で塵1つ落ちていない。毎朝10分間自分作業する回りを工場長以下各々が掃除をする事が効果をあげているようだった。

工場はデリーからジャイプルへ向う道路の約70キロ地点にあるダルヘラと言う村にあり、高校卒男女が11台のバスで周辺から集められている。阿部工場長以下女子を含む全員がユニフォームを着用し、同じ食堂で食事をし、男女国籍による差別がない工場である。給与は周辺の他社と比べ決して良くはないが定着率は97%とソニーのアジアの工場の中で一番良いとことである。インド人の資質は、目が良くて、手先が来ようで、単純繰り返し業を忍耐強く行い、サボらない、ソニーのアジアの中心であるマレーシア工場より優秀であり、問題点はない。流れ作業のコンベヤーに並んだ女工さんは目を輝かしながら、テレビの基盤作りをやっていたが、70箇所に及ぶマウンティングをそれぞれがすでに頭に入れて目の前に張ってある設計図など目もくれず黙々と作業をしている。全てが手作りでTVが完成する。最後の超近代的な検査で落ちるものはほとんど無いそうである。(インドは東西に長いため北と南では地磁気の強さが違い南北で調整を帰るような細かいことをソニーは行っていた。)

手作りの工場で手作りのTVを作ってそれが国際的に問題ない品質のものであると言う驚くべきことをソニーはインドで成し遂げつつある。

ブラウン管を除く70%は国産品を使っていて、今の体制でもソニーは市場さえあればどのような製品でも作れると自負していた。

ホンダの工場はデリーから川を渡ったグレーターノイダと言うところにある。デリーから約1時間一寸かかる。工場はトヨタのバンガロールノ工場に比べると自動化は進んでいない。同行したトヨタ自動車の方の感想によれば、自動車作りの原点に帰った工場であると。働く工員は生き生きとしていて,見ていて気持ちが良い動きをしている。現在の生産台数は月1000台まで言っていないが、月2000台を目指してがんばっている。

日本人の方の感想を聞くと、手先の器用さ、忍耐強さ、目の良さに加え、耳が良く、エンジンを組み上げ数秒吹かすだけでエンジンのどの部分が悪いのか指摘できる工員が育ってる。その能力は日本人がかなわないと。ホンダのタイを経験した人によるとタイ人より優れていると言えるようだ。

ソニーの安部工場長の言葉を引用すれば、「インド人の工員の目線で者を見ています。インド人の資質の良いところを引出すことに努力をしています。」となり、工員一人一人に盛田イズムが浸透している感じを受けた。

ホンダの就業規則はかなり分厚いものであるが、それと同じようなボリュームで哲学を説いたものがあり、ホンダイズムを教育されている。

両工場に共通している点は、働く工員たちの給与は周辺他社に比べ決して特別に良いわけではないにもかかわらず、目を輝かして働く姿であった。工場は、決して自動機械が活躍する超モダンなものではなく、生産の原点に帰っている。この2工場を見るかぎりインドがもの作りに向かないと言う伝説は、もはや無い。

 

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