2008年インド予算

2008/3/8

恒例の2月末日に2008年度インド国家予算案が提出された。今年は閏年故月28日ではなく、2月29日の提出となった。過去にもっと早く国会に提出する試みがなされたことがあったが、うまく行かず、伝統的に2月末日に提出となっている。

大蔵大臣が国会で予算をすべて読み上げるのは大変な労力であろうが、一年に一度の大舞台でもある。通常は提出された予算案はそのまま可決され、BillからActとなり施行される。

予算案が発表されると、各シンクタンクや、コンサルタント、銀行、会計事務所等が、先を争ってその解説セミナーが開催される。館長はそのいくつかに出席した。その中から、今回はCCI(Corporate Catalyst India Pvt Ltd)とBank of Tokyo-Mitsubishi UFJニューデリー支店の共催で、3月7日に、メトロポリタン・ホテルで18:30より開催されたセミナーの内容を取り上げることとした。

会場はぎっしりの入りで、日系企業の予算に対する関心の高さを示していた。東京三菱UFJの新任の岡田氏の司会で会セミナー進行された。支店長の開会の挨拶に続いてセミナーが始まった。

Ashok Desaiさんと共に、CCIの後ろ盾でご存知元駐印インド大使アスラニさんによるキーノートスピーチから始まった。大方のインドの方が原稿なしでスピーチを行う中で、アスラニさんは十分に練り上げた原稿を手にスピーチをするのが通常で、今回も原稿をあらかじめ用意した周到なスピーチであった。

3月7日はCCIの創立日であり、今年でCCIは17才となった。今年の予算案の詳細については、専門家の牧さんに任すとのとのことで、アスラニさんが今回の予算の中で注目している点を、2点話された。

政府は、農民向けのローンの救済として、総額600Billionルピー(1兆8千億円)のいわゆる徳政令(Scheme of Debt Waiver and Debt Relief for farmers)用意した。これが適用されるのは、農民が正式に銀行から借り入れしている場合のみに適用され、民間の金貸しから借りている場合は適用されない。さらに、一度この取り扱いを受けても、その後は、まったく無傷で新たのローンを借りることを妨げないとなっている。従い、農民借り得となり、消費を刺激することになる。(館長の見たところ、農民に金を借りるならば銀行との風潮が広がり農民のインド経済圏への引き込みが行われることになろう。1兆8千憶円を農民世帯数の4千万で割ると、一家あたり4万7千円となる。少なくない影響である。このつけは将来にFundとしてツケが回ることになる。

次に、中間階級のサラリーマンに恩恵が施されている。個人所得税の課税対象が、年収今まで110,00ルピー(33万円)以上からが150,000ルピー(45万円)に引き上げられた。また、250,000ルピー(75万円)超が最高税率の30%適用されていたが、今回はそれが500,000ルピー(150万円)超に引きあげられた。日本でいえば、係長、課長級(インドでいえばManager クラス)あたりが恩恵を受けることになる。

これだけ国民に好意的な予算が組まれたのは、選挙が近いとの観測がある。しかし、選挙がおこなわれても、いずれ、現在与党のコングレスか野党のBJPが主導権を取ることになろう故、どっちに転んでも経済界、実業界は心配ない。

タタスティールもメンバーである首相に対する諮問機関が、鉄鉱石の輸出禁止ないしは高輸出税付与を提言したが、政府は取り上げなかった。これは日本にとっては良いことええあった。

このあと、牧さんが予算と移転税制について簡潔かつ詳細な解説を力強く行った。牧さんのマレーシア・シンガポール等の外国経験から、明確な比較論を交えた見識を披歴する格調の高いものでもあった。DVDでの資料も用意された。(添付参照)

会場で配布されたCCIの資料の中に、現在の首相のマンモハン・シンと共同で1991年に現在のインドの経済自由化のドラフトを書いた、Ashok V. Desaiさんの予算概要の前文があり、興味深い洞察を行っている。

インド経済はスローダウンしている。その下降現象は、2007年の初めより始まっている。GDPを見ると、9.3%の予測から、7.2%に下方修正されている。そう言う条件下、大蔵大臣は、今回の予算を経済を刺激するようにと考えているようだ。物品税を16%から14%に引き上げ、中級サラリーマン減税を行っている。企業と納税者に飴を用意したようである。

セミナーは「さくら」の心尽くしの和食でお開きとなったが、牧さんがインド料理の食いすぎでの下痢を押しての熱弁に拍手を送りたい。声の張りと艶に感服した。CCIは良いところと提携し牧さんを得たことは大変なメリットである。

館長の質問を参考までに以下に挙げる。
1. GST(Goods & Service Tax)は14%で落ち着くのだろうか。そうであると今のサービス税が12%から14%に増加することになったしますことになるが・・そうなるかも
2. 電気自動車が8%から0になるとのことだが、ゴルフカート、フォークリフトの充電式のものはこの範疇になるのか。
調べてみるとのこと
3. アスラニさんに中国の国家予算の中で防衛費の急増が危惧されているが、インドはどうか?
防衛大臣によれば、10%の上昇で、これは物価上昇等を考えればリーゾナブルな範囲であろう。
 
いつもながらアスラニさんの思慮深い考えに感服する

声の張りは下痢を思わせないもので、CCIは良い人を捕まえている・・
マレーシア等の外国のお経験が生かされている・・

用意された座席はいっぱいで、ドタキャンはなかったようである・・

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